Research Press Release
改訂された温室効果の暴走
Nature Geoscience
2013年7月29日
惑星の温度上昇の抑制がきかなくなり海洋が蒸発する温室効果の暴走は、これまで考えられていたよりも簡単に始まりうるという報告が、今週オンライン版に掲載される。(地球で享受しているような)安定した温暖な気候と温室効果の暴走は、今日の地球が受けているのと同じレベルの太陽放射を受けている惑星では共に起こりうる結果である。これまでは、温室効果の暴走に必要な太陽放射量はもっと大きいと考えられていた。
Colin Goldblattら等は数値モデルを用いて、太陽放射の吸収量と地球表面と大気により放射される熱輻射との釣り合いを計算した。彼らは、今日の地球が受けている太陽放射と同様の量を受けている惑星でも温室効果の暴走が起こりうることを見つけた。より複雑な大気モデルが必要ではあるが、彼らは(高レベルの温室効果ガスと少ない雲などの)特定の大気条件下では安定して温暖な地球は暴走した温室効果の状態に変化しうると示唆している。しかしながら、著者等は、近い将来に予測されている人工的な温室効果ガスの放出は、地球でそのような温室効果の暴走の引き金となるには不十分であると述べている。
doi:10.1038/ngeo1892
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
考古学:遠い昔に存在していたナイル川のアフラマト支流沿いに建設されたエジプトのピラミッド群Communications Earth & Environment
-
工学:トカゲにヒントを得た建物系は全倒壊を免れるかもしれないNature
-
動物行動学:雄マウスの仔育てに影響を及ぼすかもしれない細胞Nature
-
進化学:バオバブの系譜をたどるNature
-
気候:2023年の夏は2000年に1度の暑さだったNature
-
健康:高齢者の暑熱曝露のリスクが大きくなるNature Communications