Research Press Release
【環境】気候変動によるリンゴの味と食感の変化
Scientific Reports
2013年8月15日
人気の果物であるリンゴの味と食感が、長期的な気候変動によって変化してきているらしい。これは、1970年代以降、日本国内の2か所のリンゴ園で行われてきた研究で示された結論である。
これまでの研究では、長期的な気候変動がリンゴのフェノロジー(成長と活動の季節パターンの変化)に影響を及ぼしてきたことが示されていた。つまり、気温と降水量の変化が、例えば、開花、発芽や満開の時期に影響を与えてきたのだ。気候変動の影響の定量化には困難を伴うことが多い。気候以外の要因による影響があり、栽培種と栽培管理法を長い間変えていないリンゴ園のデータが必要なためだ。
今回、杉浦俊彦(すぎうら・としひこ)たちは、最近の気候変動によってリンゴの味と食感が変化したのかどうかを調べるため、日本国内の2か所のリンゴ園で、世界的な主力栽培種の「ふじ」を含む2つのリンゴ品種(栽培種)の栽培試験を30~40年間にわたって実施した。その結果、収穫日を選定するために用いられる成熟度にかかわらず、酸濃度、果実硬度、みつ入りが次第に減少していることが明らかになった。杉浦たちは、早期開花や成熟期の高温が、この変化の原因だと考えており、もし開花時期がさらに早くなり、果実の成熟期の気温上昇がさらに進むと、リンゴの味と食感という属性の変化がもっと顕著になると推測している。
doi:10.1038/srep02418
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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