がんの抗血管新生療法“IMAGES”に反応する画像化法
Nature Medicine
2013年8月19日
血管構造画像化法(VAI)を神経膠芽腫(脳腫瘍の一種)患者に利用すれば、抗血管新生療法に反応して、微小循環と組織への酸素供給が改善するのを明らかにできる。この技術は、患者がこのような治療法に反応するかを調べるために利用できる。この方法では、患者の生存と関係の深い、腫瘍の血管とその周囲の組織での薬剤の効果を非侵襲的に観察できるからである。
核磁気共鳴画像化法(MRI)を用いた脳組織の画像化では、組織内灌流、血液量、血管径に関する情報が得られる。Kyrre Emblemたちは、血管の構造や血流量、組織酸素飽和度といった血管の機能に関する情報が得られるVAI技術を開発した。これらの情報は、現在の非侵襲的画像化技術では簡単には評価できない。コンピューター・シミュレーションを利用して、Emblemたちは、VAIによって見つかった血管のループが、特定の血管構造を示すことを明らかにした。またEmblemたちは、再発性多形神経膠芽腫患者30人について、血管新生阻害剤セジラニブ(血管形成のカギとなるタンパク質受容体を阻害する)投与の前後で後ろ向き解析を行って、この方法の臨床での評価も行った。
すると、抗血管新生療法に反応し、最終的に生存期間が延びる患者では、血管径の減少と微小循環や酸素飽和度の改善に相関があることがわかった。VAI法を用いることによって治療に反応する患者をより多く見つけられたことから考えて、この方法は、血管新生阻害剤の効果を示すバイオマーカーとして、従来のMRIバイオマーカーよりも感度が高い可能性がある。それはおそらく、VAIが酸素飽和度の変化に敏感なことが一因だろう。
doi:10.1038/nm.3289
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