Research Press Release
アテローム性動脈硬化症のドライバー
Nature Immunology
2013年9月2日
インターロイキン-1α(IL-1α)は、不飽和脂肪酸に曝されたときにマクロファージ(病原体や分子を貪食して細胞から廃棄する免疫細胞)が分泌するシグナル分子で、アテローム性動脈硬化症を推進する強力なドライバーになる可能性があるという。
脂質、特にコレステロールとその誘導体が動脈壁に蓄積するとマクロファージが活性化され、炎症やアテローム動脈硬化性プラークの形成につながる。プラーク中のコレステロール結晶が引き金となってマクロファージがIL-1βを分泌し、これがアテローム性炎症や病気に結びつくことが、これまでに明らかになっている。
しかし、Stefan Freigangたちは、高脂肪食を摂取したマウスの動脈硬化プラーク中に不飽和脂肪酸が時とともに蓄積し、これがマクロファージによるIL-1α分泌を誘発し、IL-1βの分泌を抑制することを発見した。アテローム性動脈硬化症にIL-1αとIL-1βがそれぞれどのように関わるかがさらに解明されれば、アテローム性動脈硬化症の治療法に結びつく重要な手がかりになるだろう。
doi:10.1038/ni.2704
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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