Research Press Release
ヒトの発生過程の手がかり
Nature Biotechnology
2010年10月4日
微速度顕微鏡撮影での解析によって、ヒト胚の発生過程の新たな手がかりが得られた。この研究成果を役立てて、体外受精(IVF)の際に女性の体内に戻す胚を選ぶ方法を改善すれば、体外受精の成功率を高められるかもしれない。
R R Peraたちは、IVF胚を受精後数日間にわたって撮影し、2日齢の胚が5〜6日齢(胚盤胞とよばれる構造)まで適切に発生するかどうか予測ができるようにと、目に見える手がかりを探した。そして、胚盤胞に達する可能性の高い胚は、次の3つの条件を満たしていることを発見した。初回の細胞質分裂(細胞分裂の一段階)が0〜33分間持続し、1回目と2回目の有糸分裂の間隔が7.8〜14.3時間、2回目と3回目の有糸分裂の間隔が0〜5.8時間であることの3つである。また、同じ1個の胚でも個々の細胞は異なった遺伝子発現パターンを示し、一部の細胞は卵を介して母親由来の転写産物を多く受け継いでいるが、ほかの細胞は胚自身の遺伝子の発現が盛んに行われていることがわかった。
この非侵襲性の撮影法が生殖補助医療機関でのIVFに取り入れられれば、妊娠成功率の高い胚を移植できる可能性が高まるかもしれない。
doi:10.1038/nbt.1686
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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