Research Press Release
T細胞の息切れを停める
Nature Immunology
2013年9月30日
慢性ウイルス感染の際にT細胞応答が次第に減弱するが、その過程を制御する重要な因子が明らかになった。この因子の活性を変化させれば、HIVやがんといった特定の慢性感染に、望ましい効果があるかもしれない。
Ananda Goldrathたちは、HIF-1の発現量が増加したマウスT細胞を調べた。このHIF-1は転写因子で、細胞の低酸素症(適切な酸素の供給が得られない状態)に対する応答に役割を果たすことがよく知られている。著者らは、このT細胞がウイルス感染に対して非常に強力に応答し、通常の慢性感染に見られるような応答の減弱が起こらないことを発見した。このHIF-1を高発現するマウスのT細胞は、実験的に誘発したがんの抑制にも、極めて高い有効性を示した。しかし、このようなT細胞応答の増強には代償が伴っており、これらのマウスは炎症を起こしやすく、炎症がうまく制御できない。
doi:10.1038/ni.2714
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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