【動物行動】ディーゼル排ガス汚染でミツバチが花のにおいを認識しづらくなる
Scientific Reports
2013年10月3日
ミツバチに花のにおいを学習させた後、その花をディーゼル車の排気ガスに含まれる一般的な大気汚染物質にさらしたところ、ミツバチがその花のにおいを認識する能力が影響を受けたことがわかった。ミツバチは、餌にしている花を探し出し、識別し、認識する際に、花のにおいを役立てている。今回の研究を行ったTracey Newmanたちは、この認識能力の変化で、ミツバチの採餌効率が影響を受ける可能性があり、究極的には、ミツバチによる送粉サービスにも影響が及ぶ可能性があると推測している。
セイヨウミツバチ(Apis mellifera)の嗅覚は敏感で、新しいにおいを学習し、記憶する能力がずば抜けている。NOxガス(一酸化窒素と二酸化窒素)は、ディーゼルやその他の化石燃料の燃焼の結果生じる最も反応性の高いガスに分類されるが、特に都市部での二酸化窒素の排出量は、日常的に規制値を上回っている。
Newmanたちは、人工的にブレンドした花のにおいの成分がディーゼル排ガス汚染によって変化するかどうかを明らかにするための研究を行い、現実の環境で考えられる程度の濃度の高反応性ガスがその変化において果たす役割、そして、その変化がセイヨウミツバチの花のにおいブレンドの認識能力に及ぼす影響について調べた。
その結果、NOxガス、特に二酸化窒素が、セイヨウミツバチが餌とする花資源を見つける際に依存しているにおい認識過程を阻害する可能性が明らかになった。セイヨウミツバチは、花のにおいブレンドに含まれる化学物質のすべてを使って、さまざまな花のにおいブレンドを判別しており、今回の研究結果は、このブレンドに含まれる化学物質に重要性の高いものと低いものがあることも示唆している。
doi:10.1038/srep02779
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