極端な気候の予測を確実なものとする方法
Nature Climate Change
2013年11月18日
気候変動の下で、極端な気温事象と降水事象の頻度が高まると予想されている。しかし、こうした事象の局所規模と地域規模での予測は、不確実性が大きい。今週オンライン版に掲載される論文では、こうした不確実性の主たる原因が、気候システムの内部変動であり、モデルが改良されても不確実性が変わらないと報告されている。それでも、地域全体について平均化を行うことで、将来の極端事象に関する確かな予測が得られることも指摘されている。
今回、Erich Fischer、Reto Knuttiたちは、第5期結合モデル相互比較計画による25のモデルを用いて、2016~2035年と2041~2060年の各期間中の極端な気温と降水のシミュレーションを行った。その結果、極端な気温と降水の予測について、いずれも不確実性が大きく、特に降水に関連する不確実性が最大であることが判明した。この研究では、内部変動の役割を解明するために、初期の気候条件だけを変えて、単一の地球システムモデルを複数回実行した。そして、極端な気温に関連する不確実性の40~60%、極端な降水に関連する不確実性の75%以上が内部変動によることが明らかになった。以上の結果は、局所規模での極端な気温と降水の変化に関して、信頼できる情報が得られないことを明確に示している。しかし、FischerとKnuttiたちは、空間的平均化を用いることで、今後20~30年間の極端な気温と降水の確かな証拠が得られることを指摘している。この情報は、将来の気候事象に対する計画と適応に関係してくると考えられる。
doi:10.1038/nclimate2051
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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