Research Press Release
脳内免疫細胞が社会的行動の形成を助ける
Nature Neuroscience
2014年2月3日
マウスでは、ニューロン間の過剰な接続の削除に関わる初期発生過程の欠陥は、社会的行動の変化を伴う。今週号に掲載されるこの報告は、社会的行動の神経生物学に新たな光を投げかけ、自閉症や強迫性障害(OCD)における社会的欠陥の理解を深める可能性がある。
発生過程におけるシナプス刈り込みはミクログリア(小膠細胞)の介助による。これら細胞は脳にある非神経細胞で、免疫応答にその機能を持つ。これまでの研究で、ミクログリアが低下しているマウスは学習や記憶に欠陥があることが示されている。これらの発見は、多くの精神医学疾患の症状である社会的行動や認知行動に生じる変化は、ニューロン間の接続が発生過程で変化したために起こるという考えを支持するものである。
Cornelius Grossたちは、遺伝的に改変して脳内のミクログリアの数を一時的に減少させたマウスを研究した。このマウスでは、他のマウスとの社会的接触の減少と同時に、毛づくろい行動の増加が見られ、OCDや自閉症スペクトラム疾患のような疾患に見られる繰り返し行動との類似が示唆される。またGrossらは脳試料を調べ、これらマウスではシナプス刈り込みが不十分で、認知および社会的行動に関わる2つの脳領域である海馬と前頭前野との間の機能する接続が減少していることを示した。
doi:10.1038/nn.3641
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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