Research Press Release
【遺伝】一卵性双生児でも痛み感受性に差がある理由
Nature Communications
2014年2月5日
一卵性双生児でも痛み感受性に差があるが、この差は、重要な痛み遺伝子が化学修飾を受ける過程の差に関連しているという結論を示した研究論文が、今週掲載される。この結果は、こうしたエピジェネティックな変化がヒトの多様性にとって重要なことを明確に示しており、体が痛みを感じる過程の解明に新たな知見をもたらすかもしれない。
今回の研究は、Tim Spectorをリーダーとする研究コンソーシアムによって実施されたもので、貴重な一卵性双生児の遺伝情報データベースであるTwinsUKコホートを活用した最新の研究だ。Spectorたちは、一卵性双生児を対象とした実験で、熱くなった物体表面を触ることにどの程度耐えられるかを測定し、一卵性双生児における熱さ感受性の差異とDNAメチル化パターンの差異を比較した。その結果、温度を感じるタンパク質TRPA1をコードする遺伝子のメチル化の差異が、痛み耐性と相関していることが明らかになった。この他に、痛み耐性との関連を示した遺伝子が8つ見つかったが、これらの遺伝子が、ヒトが痛みを感じる能力にどのように寄与するのかを解明するには、さらなる研究が必要となる。
doi:10.1038/ncomms3978
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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