Research Press Release
前立腺がんの悪性度を下げる
Nature Medicine
2010年11月8日
細胞接着分子N-カドヘリンが、比較的良性の前立腺がんから非常に悪性度の高い型への変化に重要な役割を果たすことが明らかになった。この細胞接着分子を標的にすれば、前立腺がんの今後の治療に役立つ可能性がある。
前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)依存性の場合が多いため、前立腺がん患者では、治療として性腺摘除が有効なことが多い。一方、がんがアンドロゲン非依存性になって性腺摘除に反応しなくなると、がんは致命的なものとなる。しかし、性腺摘除抵抗性への変化を何が制御しているのかは知られていなかった。
R Reiterたちは、性腺摘除抵抗性の前立腺がんでは、細胞間で糊の働きをするタンパク質N-カドヘリンの発現が上昇していることを発見した。男性ホルモン依存性前立腺がんでN-カドヘリンを発現させると、がんは性腺摘除抵抗性になり、転移が促進された。N-カドヘリンに対するモノクローナル抗体は、マウスに移植した前立腺がんの増殖、接着、転移を抑制し、一部の例では腫瘍が完全に退縮した。
doi:10.1038/nm.2236
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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