Research Press Release
ニューロン以外の細胞が摂食行動を調節
Nature Neuroscience
2014年6月2日
マウスでは満腹ホルモンのレプチンが脳のニューロン以外の細胞に働きかけ、摂食行動に影響を与えるという報告が、オンライン版に掲載される。
レプチンはホルモンであって、体内の脂肪細胞から放出され、摂食行動と代謝を調節するとされている。Tamas Horvathたちは、摂食行動と代謝を調節するとされる脳の部位(視床下部)に存在するグリア細胞(膠細胞)の一種、アストロサイト(星状膠細胞)がレプチン受容体を含むことを示した。
アストロサイトからレプチン受容体を指令する遺伝子を削除すると、その形状が変化し、それだけでなく、視床下部でニューロンによって形成されるシナプスの数も変化した。レプチンは通常、摂食を抑制するが、アストロサイトにレプチン受容体を欠くマウスでは、その効果が減少した。視床下部のニューロンは摂食行動を調節することが知られているので、アストロサイトでのレプチン受容体の欠損によってもたらされた神経接続の変化は、摂食行動における変化を引き起こした背景をなす可能性がある。
この研究は、レプチンがアストロサイトに作用することを初めて示すものであり、レプチンがニューロンに及ぼす影響に加えて、脳およびそこにあるさまざまな細胞種が摂食行動を調節する仕組みについて新たな次元を加えるものである。
doi:10.1038/nn.3725
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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