Research Press Release
【動物学】オオカバマダラの渡りにおける磁気コンパスの利用
Nature Communications
2014年6月25日
オオカバマダラは、磁気コンパスを用いて、赤道方向への渡りを行っていることが明らかになった。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。
北米に生息するオオカバマダラ(Danaus plexippus)は、米国やカナダ南部から南へ数千マイル離れたメキシコ中部のミチョアカン州の山地までの極めて長い距離の渡りをして、冬を越す。オオカバマダラは、時間補償がなされた太陽コンパスを用いて、飛翔方向を決めているが、太陽コンパスを使えない気象条件(曇天など)でも南の方角へ予定通り飛翔を続けている。
今回、Steven Reppertたちは、フライトシミュレーターのまわりを磁気コイルシステムで囲った実験装置を用いて、オオカバマダラが、太陽コンパスに加えて、赤道方向への飛翔に役立つ磁気コンパスを利用していることを明らかにした。この磁気コンパスには光依存性があり、それに関係する光感受性磁気センサーが触角の中に存在していると考えられ、それが渡りを助ける必須の定位機構であることも判明した。
最近の研究で、鳥類の磁気コンパスによる定位が電磁ノイズによって妨害されていることが明らかになったが、今回の研究によって、人為起源の磁気ノイズが、オオカバマダラにとっても潜在的危険になる可能があるという懸念が生じている。
doi:10.1038/ncomms5164
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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