Research Press Release
【微生物学】腸内細菌がとりうるいくつかの状態
Nature Communications
2014年7月9日
ヒトの腸内に生息する特定の細菌は、大量に存在する状態とほぼ存在しない状態のいずれかを維持し、それぞれの状態が、老化や体重といった要因と関連していることが明らかになった。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。
腸内微生物は、ヒトの健康に重要な影響を及ぼすが、その根底にある機構は、ほとんど解明されていない。今回、Leo Lahtiたちは、さまざまな年齢と健康状態の欧米の成人1000名の腸内微生物のデータを解析した。ほとんどの細菌の場合には、その個体数にわずかな個人差が認められた一方で、特定の微生物は、大量に存在する場合とほとんど存在しない場合の両極に分かれる傾向を示した。いずれの状態も、比較的安定したものと考えられ、中間的な個体数状態の存続期間は比較的短かった。また、Lahtiたちは、この両極端の状態が、老化、体重などの生理的要因と健康関連要因と相関していることも確認した。
今回観察された微生物の個体数とヒトの健康の相関が因果関係に基づくものかどうか、そして、こうした両極端の状態を健康状態や疾患感受性のマーカーとして利用できるのかどうかを検証するには、さらなる研究が必要とされる。
doi:10.1038/ncomms5344
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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