Research Press Release
【動物学】空の偏光パターンを定位に利用するコウモリ
Nature Communications
2014年7月23日
雌のオオホオヒゲコウモリ(Myotis myotis)が偏光を利用して定位していることが実証された。これにより、コウモリが、空の偏光パターンを利用する唯一の哺乳類ということになった。その結果を報告する論文が掲載される。
動物が定位と航路決定を行う際には、さまざまな感覚情報、例えば、太陽や星の位置、地球の磁場の強度と傾斜、空の偏光パターンに依存している。そして、最高の精度を得るためには、これらの系を相互に較正する必要がある。無脊椎動物と鳥類は、偏光を定位の手掛かりに利用することが知られているが、哺乳類による利用は実証されていなかった。
今回、Stefan Greif、Richard Hollandたちは、移動実験を行い、雌のオオホオヒゲコウモリが日没時に偏光特性を手掛かりに用いて、磁気コンパスの較正を行うことを実証した。この実験では、オオホオヒゲコウモリの雌の成体70頭をいろいろな地点の実験用飼育箱に入れて、そこから日没時の空を見せた。この飼育箱には、さまざまなフィルターが用意されており、太陽光の偏光パターンを操作できるようになっていた。この実験で、コウモリは、偏光を用いて定位し、自分の洞窟に戻っていった。
今回の研究は、哺乳類の視覚の感覚生物学的性質にとって重要な意味を持っているが、コウモリが空の偏光パターンをどれだけ正確に感知し、利用しているのかは、現時点では明らかになっていない。
doi:10.1038/ncomms5488
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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