Research Press Release
野生種のトマトに見つかったストレス耐性遺伝子
Nature Genetics
2014年7月28日
野生種のトマトであるSolanum pennelliiのゲノム塩基配列が解読された。
味がいっそう良く、しかもストレス耐性の高いトマトの育種に役立つ可能性がある。S. pennelliiは、南米産の野生種のトマトで、食用ではないが、現在、食用種のトマト(Solanum lycopersicum)の形質を改良するための異種交配に使われている。B Usadelたちは、ストレスの多い条件に耐える能力など、さまざまな有益な形質に寄与する遺伝子を同定するために、野生種トマトゲノムの塩基配列を解読した。
その結果、脱水耐性、果実の発生、果実の後熟に関連する遺伝子が見つかった。また、野生種に高い濃度で含まれている果実の香りとフレーバーに関わる揮発性化合物に関係する遺伝子も明らかになった。食用種のトマトでは、苦味が排除される選択があったため、揮発性化合物の多くが失われていた。トマトの全ゲノム解読はまだ2種でしか行われておらず、S. pennelliiのゲノムは、トマトの進化と遺伝の研究で注目を集めるだろう。
doi:10.1038/ng.3046
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
気候変動:南極の氷が人為的な温暖化が1.5℃の温暖化の限界に近づいていることを示唆しているNature Geoscience
-
惑星科学:ボイジャー2号が天王星をフライバイしたのは太陽の異常現象の最中だったNature Astronomy
-
気候変動:プライベート航空による二酸化炭素排出量の大幅な増加Communications Earth & Environment
-
惑星科学:火星の岩石堆積物は太古の海の名残かもしれないScientific Reports
-
地球科学:インドプレートとユーラシアプレートの収束の加速を説明するNature
-
メンタルヘルス:うつ病は7か国における婚姻状況と関連しているかもしれないNature Human Behaviour