【生態】チョウやガの幼虫の生存率の変化と幼鳥の学習の遅れ
Nature Communications
2014年9月24日
チョウやガの幼虫には、派手な体色や模様のものと隠ぺい色のものがいる。それぞれの生存率は、季節によって変化し、それが、幼鳥の学習と経験に依存していることを報告する論文が、今週、掲載される。この論文には、1年の特定の時期に派手な体色や模様の被食者の数が非常に少なくなる理由が捕食者の学習の遅れだとする考え方が示されている。
さまざまなチョウ種の幼虫は、捕食を避けるために、背景に紛れ込み、あるいは、派手な「警告」シグナルを用いて自らが危険なことを捕食者となりうる生物に誇示できるように進化した。しかし、派手に誇示することは、捕食者がそうしたシグナルの意味を理解していることを前提としているため、危うい戦略と言える。
今回、Johanna Mappesたちは、さまざまな色のチョウやガの幼虫の数が捕食者の幼鳥の数によって影響を受けるかどうかを調べた。幼鳥は、初めて巣を離れる時に、派手な体色の被食者が示す警告シグナルの意味を知らない。
今回の研究では、派手な体色のチョウやガの幼虫の生存率が、学習していない鳥類が最も少ない巣立ちの初期と末期に上昇した一方で、巣立ち期の真っ最中には、隠ぺい色のチョウやガの幼虫の方が生存上有利なことが分かった。こうした個体数の季節変動パターンは、自然界のさまざまな色のチョウやガの幼虫に見られ、捕食者が生まれつき警告シグナルの意味を知らない場合に、その警告シグナルが長期間持続する理由となっている可能性がある。
doi:10.1038/ncomms6016
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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