Research Press Release
HIV-1感染に対する免疫応答の「スイッチを切る」
Nature Immunology
2014年11月18日
ヒトの免疫細胞にあって、正常ならウイルス感染を検出するはずの受容体のスイッチが、HIV-1感染によって「オフ」になるという。この知見は、HIVが免疫系に検出されずに潜行する仕組みの解明に役立つかもしれない。
David Haflerたちは、ヒトのCD4+T細胞上にある受容体TLR7が刺激されると、T細胞が応答性を失うことを発見した。CD4+T細胞はHIV-1感染の主要な標的であり、普通は感染すると不活性化される。Haflerたちによれば、TLR7がないとこの免疫細胞の応答性が回復するという。さらに、TLR7を持たないヒトCD4+T細胞は、試験管内でHIV-1感染が起こりにくい。このようにHIV-1は、正常な生活環の中でTLR7を利用し、免疫系の鍵となる細胞を不活性化するのに使っているらしい。
doi:10.1038/ni.3036
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生物学:全ヒト細胞アトラスの作成Nature
-
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
健康科学:イカに着想を得た針を使わない薬物送達システムNature
-
化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法Nature
-
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications