【人間行動】恋愛関係状態に関連する遺伝要因
Scientific Reports
2014年11月20日
中国漢民族の大学生グループにおける恋愛関係状態の決定因子の1つがDNAである可能性を示唆する報告が、今週掲載される。恋愛行動は、脳内のセロトニン濃度と関連していることが判明しているが、今回の研究では、恋愛関係になる可能性がセロトニン受容体をコードする遺伝子の複数の多様体と関連していることが明らかになった。ただし、この新知見を別のグループの人々で再現できるかどうかは分かっていない点に注意する必要があり、恋愛関係の形成に遺伝要因が寄与していると考えられる反面、別の要因(例えば、社会的特質や個人的特質)によって遺伝要因が目立たなくなる可能性もあると著者は説明している。
今回、Xiaolin Zhouたちは、中国漢民族の大学4年生579名を対象として、5-HT1A(セロトニン濃度を低下させる受容体)をコードする遺伝子の変異の影響を調べた。特にZhouたちは、多型C-1019Gの2つの遺伝子多様体(GアレルとCアレル)に着目した。Gアレルは、Cアレルより5-HT1A濃度を大きく上昇させる。Zhouたちは、Gアレルを1コピーまたは2コピー有すると恋愛関係になる可能性が低くなることを明らかにした。Cアレルを2コピー有する者の50.4%が恋愛関係にあり、Gアレルを1コピー又は2コピー有する者の39.0%が恋愛関係にあったのだ。この関連性は、恋愛関係に影響する他の要因(例えば、社会経済的状況、外見、宗教的信念、子育てのスタイル、抑うつ症状)を考慮に入れた場合でも維持されると考えられている。
Zhouたちは、学生が恋愛関係になりたいという強い欲求を持っている点を強調しているが、その一方で、少なくとも中国の社会では、他の状況において、家族と社会からの圧力が恋愛関係の形成に影響を与える可能性があり、その場合にも5-HT1A遺伝子と恋愛関係状態の関連が維持されるかどうか分からない点も指摘している。
doi:10.1038/srep07049
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