気候変動についての信念は冬季温暖化によって揺るぐのか
Nature Climate Change
2014年11月25日
気温が平年より高いことは、人々の気候温暖化の程度に対する認識に影響を与えるが、温暖化の原因を人為的なものと考えるかという点には影響を及ぼさないという報告が、今週のオンライン版に掲載される。
人々の環境の変化(異常気温を含む)に対する認識は、実態を反映し、機器による測定値とも一致する傾向がある。しかし、環境の変化に対する認識が、気候変動に関する信念に影響を与えるのかどうかは分かっていない。
今回、Aaron McCrightたちは、米国本土の2012年冬季(1895年以降で記録上4番目に暖かい冬)の気温観測値と政治的志向が、気温が平年より高いという認識と異常気温の原因を人為起源の気候変動とする考え方に及ぼす影響について分析した。
McCrightたちは、州レベルの冬季気温の観測値とギャラップ社の2012年環境意識調査に基づく個人レベルの調査データを組み合わせて検討した。この意識調査のデータには、政治的イデオロギー、支持政党、地球温暖化の発生に関する科学的コンセンサスについての認識と現在の気候変動についての信念が含まれている。
今回の研究結果は、実際の気温データは、異常気温の認識に強い影響を与えるが、そうした異常の原因が人為起源の気候変動にあるとする考え方にはつながらないことを示している。一方、人々の認識と原因についての見解は、科学的コンセンサスについての認識、現在の信念、政治的志向によってはっきりと説明された。
この結果は、米国全土で、温暖化の認識から適応行動が誘発されることはあっても、炭素排出量を削減するための政策に対する国民の支持を築き上げられる可能性が現状では低いことを示唆している。
doi:10.1038/nclimate2443
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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