【疫学】HIV介入の導入計画をどう立てるか
Nature Communications
2014年12月3日
サハラ砂漠以南のアフリカで、HIVへの暴露前介入を導入する際、予防関連資源を平等に配分するのではなく、罹患率の高い地域に優先配分することで、導入初年度のHIV感染の予防症例数を約40%増やせるという報告が、今週掲載される。
HIVの感染者数は全世界で約3400万人に達し、サハラ砂漠以南のアフリカだけで、年間300万人がHIVに新たに感染している。サハラ以南のアフリカ諸国では、HIVの感染率を抑えるため、抗レトロウイルス療法を用いた暴露前HIV介入が間もなく導入される可能性があるのだが、利用できる資源には限りがある。世界保健機関(WHO)は、希少な資源の配分を決定する際に考慮に入れるべき複数の倫理原則を提言しており、その中に、平等主義と功利主義が含まれている。
今回、Sally Blowerたちは、地理空間的モデリングを用い、平等主義と功利主義のいずれの原則を採用すれば最も効果的な導入計画になるのかを調査した。功利主義の原則に従った計画は、社会的利益の最大化に重点的に取り組むが、平等主義の原則に従った計画は、資源の利用機会の平等を最優先する。それぞれの計画で使用される資源の量は同じとした。
Blowerたちは、特定の地域でのHIV介入の有効性がHIV罹患率の上昇に対して過度に増大することを発見し、そうした地域に着目して功利的な計画を適用すれば、初年度の予防症例数が40%ほど増加する可能性のあることを明らかにした。今回の研究は、地理的モデリングに限られた研究であり、複数のHIV予防法の間での資源配分の方法という複雑度の高い問題には取り組んでいない。
doi:10.1038/ncomms6454
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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