Research Press Release
自閉症に関わる変異の分析
Nature Neuroscience
2014年12月23日
自閉症スペクトラム障害の原因とされる変異と、分子や行動へのさまざまな影響とのつながりについて、今週号で報告される。今回の発見は、多様な自閉症変異と、広汎な様相を示す臨床像との関係を解きほぐすきっかけとなるものであ る。
Dennis Vitkupと共同研究者たちは、自閉症スペクトラム障害の患者でこれまでに変異が発見されている1000近くの遺伝子を、その遺伝的影響を基に分類した。自閉症スペクトラム障害患者に見られる変異は、患者の健常な兄弟姉妹の持つ良性変異と比較したところ、脳で高度に発現している遺伝子に影響していた。Vitkupたちは、この傾向は女性患者でずっと顕著で、こうした遺伝子が男性におけるよりも2倍近くも強く発現していることを発見した。
さらに、遺伝子の機能をすっかり失わせている変異は、IQ値の低い患者に見られ、一方、変異がそれほど重篤ではない者は、知的機能は正常であった。こうした変異がどちらも同じ分子や細胞過程に影響しているならば、今回の発見は、その機能に強い影響を及ぼす変異が自閉症の重い症状に関連していることを示している。
doi:10.1038/nn.3907
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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