Research Press Release
キュリオシティー探査車が塩水を発見
Nature Geoscience
2015年4月14日
液体の塩水の薄い膜が火星赤道上の土壌に形成され、夜の間に蒸発しているという報告が、今週のオンライン版に掲載される。この発見は、火星の表面と大気の間で活発に水の交換が起きていることを示している。
火星赤道上のゲール・クレーターを探査しているキュリオシティー探査車は、過塩素酸塩と呼ばれる種類の塩を検出した。過塩素酸塩は、水の凝固点を下げ、大気から水蒸気を吸収して腐食性の塩水を形成する。
Javier Martin-Torresたちは、地表近くの環境条件を測定中のキュリオシティー探査車に搭載された測定器によって得た、火星の一年全体を通じた大気の湿度と温度のデータを分析した。彼らは、測定結果が火星の夜間におけるゲール・クレーター最上層の土壌内での液体の塩水形成と一致することを発見した。これらの塩水は太陽が上昇して地表と空気の温度が上昇するとともに蒸発する。キュリオシティー探査車のデータから得られた地表下の水含有量の見積もりは、土壌中の過塩素酸塩により吸収された水分子の存在度と一致する。
過塩素酸塩は火星表面に多く分布していると考えられ、このことは液体の塩水が、その形成により適している環境条件を持つ赤道地域を越えてさらに豊富に存在する可能性を示唆している。しかし著者たちは、ゲール・クレーターの表面温度は低すぎて、たとえ塩水が存在しても既知の微生物は維持できないことも発見した。
doi:10.1038/ngeo2412
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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