医学研究:ヒトへのSARS-CoV-2チャレンジで明らかになった局所性および全身性応答の動態
Nature 631, 8019 doi: 10.1038/s41586-024-07575-x
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は現在進行中の世界的な健康の脅威であるが、この疾患に対する早期の細胞応答の動態についての理解は限られている。今回我々は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のヒトへのチャレンジ試験において、鼻咽頭スワブと血液の単一細胞マルチオミクスプロファイリングを用いてSARS-CoV-2プレアルファ株でチャレンジしたセロネガティブの人での不稔感染、一過性感染、持続感染を経時的に解析した。この解析によって、特定の時点や感染状態に関連した上皮および免疫細胞で細胞タイプの比率が急速に変化することや、非常に動的な細胞応答状態が多数存在することが明らかとなった。また、鼻咽頭応答に先行して、血中のインターフェロン応答が観察された。さらに、鼻咽頭での免疫細胞浸潤は、一過性感染者のみの試料では早期に、持続感染者の試料ではそれより遅い時点で起こっていた。接種前のHLA-DQA2の高発現は、持続感染の予防と関連していた。繊毛細胞は多くの免疫応答を示し、ウイルス複製に最も許容性があったのに対し、鼻咽頭のT細胞とマクロファージはウイルス産生のない感染を示した。我々は、SARS-CoV-2のモチーフへの収斂を示してクローン増殖する、迅速に活性化されたT細胞など、54のT細胞状態を解き明かした。我々の新しい計算パイプラインであるCell2TCRは、遺伝子発現シグネチャーに基づいて抗原に応答して活性化されたT細胞を特定し、これらのクロノタイプグループやモチーフへのクラスター化を行う。まとめると我々の詳細な時系列データは、上皮細胞や免疫細胞応答のロゼッタストーンとして役立ち、感染防御に関連する早期の動的な応答を明らかにしている。