Nature ハイライト
幹細胞:ストレスにより活性化された交感神経系が白毛化を促す
Nature 577, 7792
さまざまな機構(例えば紫外線ダメージや加齢)によって起こる毛髪メラノサイト幹細胞(MeSC)の喪失が、白毛化の原因の1つであることが明らかになっている。Y Hsuたちは今回、マウスにおいて、異なる3つのストレス要因(精神的あるいは物理的)はいずれも白毛化の促進につながり、その原因は数日以内に起こるMeSCの永久的な喪失であることを示している。一般に信じられている説とは異なり、MeSCへのストレスの影響は、免疫攻撃や古典的なストレス関連ホルモンとは無関係だった。というよりも、ストレスが交感神経系の活性化の引き金になり、神経伝達物質のノルアドレナリンがMeSCに直接作用して、MeSCを増殖させて使い果たしてしまうことによりMeSCが枯渇するのである。このため、マウスでサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を局所投与してMeSCの増殖を抑制すると、MeSCの喪失と白毛化が防がれた。
2020年1月30日号の Nature ハイライト
物性物理学:水素の金属化
物性物理学:双対性の力学的メタマテリアルの設計
工学:ナノスケールデバイス
化学:配向基を用いないC–H官能基化
進化学:シュム・ラカ遺跡の古代ヒトゲノム
幹細胞:ストレスにより活性化された交感神経系が白毛化を促す
免疫学:実質腫瘍に対する免疫応答における髄膜リンパ管の役割
心血管生物学:闘争・逃走反応を解明する
計算生物学:タンパク質構造を予測するニューラルネットワークがさらに進歩
構造生物学:SAGA複合体の構造