Nature ハイライト
Cover Story:量子のつながり:光ファイバーネットワークにおいて遠く離れた結晶が記憶するエンタングルメント
Nature 594, 7861
エンタングルメントを遠く離れた相互接続されたノードに配送し、記憶できる量子ネットワークによって、量子通信、量子センシング、分散量子計算などの応用が可能になると思われる。今回H de Riedmattenたちは、2つの遠隔固体メモリーの間の伝令付きエンタングルメントについて報告している。こうしたエンタングルメントは、2つのメモリーの間にある光子の検出によって伝令され、メモリー結晶に最長で25 μsの間記憶される。この記憶プロトコルによって時間多重化が可能になり、エンタングルメント速度を大きく向上させることができる。さらに、この機構は、光ファイバー通信ネットワークに適した波長の光子を使っているので、既存の通信インフラを用いて量子ネットワークと量子リピーターを運用できる可能性がある。表紙はこのシステムの想像図で、2つの結晶が1つの光通信ネットワークに接続されており、エンタングルメントの伝令光子(画像中央)によって生じる2つの可能性が、上下に重なり合う鏡像として描かれている(どちらか1つの結晶が励起状態となる)。今週号のもう1つの論文ではC Liたちが、3.5 m離れた2つの量子メモリーの間の伝令付き2光子エンタングルメントについて報告している。
2021年6月3日号の Nature ハイライト
天体物理学:銀河系内の12個の線源からの超高エネルギー光子
物性物理学:モアレ・トリオン
材料化学:正孔輸送材料用のドーピング処理を簡単に
生態学:湖沼の酸素濃度の低下
食物学:サハラ以南のアフリカにおける穀粒の微量栄養素量に関する地域レベルの調査
コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイクを介した細胞間融合に関わる機構
神経免疫学:紫外線で損傷した皮膚におけるニューロンによる組織修復の調節
がん:AIで腫瘍の起源を見つけ出す
細胞生物学:ユビキチンの新たな性質
分子生物学:アンチセンスRNAが持つ調節機能
構造生物学:遺伝子転写を開始する