Nature ハイライト
		
		
        
		
		Cover Story:量子コンパス:磁気感受性のあるタンパク質が渡り鳥のナビゲーションを助けている可能性
Nature 594, 7864
 
	    Credit: Corinna Langebrake and Ilia Solov’yov
多くの動物が、地球の磁場を用いてナビゲーションに役立てているが、この体内のコンパスの正確な性質はまだよく分かっていない。今回P Horeたちは、渡りを行う鳴禽類のコンパスの有力な候補になるタンパク質の量子的性質を明らかにしている。彼らは、渡りを行うヨーロッパコマドリ(Erithacus rubecula)の網膜に見られるタンパク質のクリプトクロム(ErCRY4)を調べ、光依存性のコンパスとして機能するのに必要なレベルの磁気感受性があることを見いだした。また、ErCRY4はin vitroで、光に駆動されて化学反応して量子効果を生じさせ、これが磁気信号を感知できるようにしている可能性があることも分かった。さらに著者たちは、ErCRY4の磁気感受性が、渡りを行わないハト(Columba livia)やニワトリ(Gallus gallus)のCRY4の感受性より高いことも見いだし、これが、ヨーロッパコマドリのナビゲーションにおける需要な成分である可能性が高いと結論付けている。
2021年6月24日号の Nature ハイライト
- 量子物理学:最大規模の量子チップを用いた量子シミュレーション
- 物性物理学:電子に引きずられる光子
- 材料科学:動作中の電池を詳しく調べる
- 化学:分子ポンプ
- 発生生物学:毛包発生の「テレスコープ」モデル
- コロナウイルス:多量体フェリチンナノ粒子ベースの汎ベータコロナウイルスワクチンの候補の開発
- 心血管疾患:MARK4は微小管の脱チロシン化を変化させて虚血性心不全を調節する
- がん:肝臓に常在するナチュラルキラー細胞はがん細胞の休眠を維持する
- 分子生物学:Spo11によるDNAギャップの形成
- 構造生物学:神経伝達物質がその受容体を介してシグナルを伝える仕組み
- 構造生物学:グルタミン酸シグナル伝達の複雑さ


