Nature ハイライト
物性物理学:2層グラフェンにおける量子異常ホール効果
Nature 598, 7879
量子ホール効果の観測には一般的に、高磁場と低温が必要である。しかし、例えば磁性トポロジカル絶縁体や設計されたモアレ格子などの、電子バンドのトポロジーが非自明なある種の材料では、磁場の必要性が緩和される。今回T Weitzたちは、自立した2層グラフェンという比較的単純な系において、ほぼゼロ磁場での量子異常ホール効果を報告している。この観測結果は従来のものとは大きく異なり、量子化された異常な電荷ホール挙動、スピンホール挙動、バレーホール挙動、スピン・バレーホール挙動を特徴とする、2層グラフェンの特異なフェリ磁性秩序やフェリ誘電性秩序に起因している。今回の結果は、ミリメートルサイズの2層グラフェン試料を作製できる可能性と合わせて、低損失エレクトロニクスや量子情報科学での量子異常ホール効果に基づく用途の実現に向けた第一歩である。
2021年10月7日号の Nature ハイライト
物性物理学:2層グラフェンにおける量子異常ホール効果
ナノスケール材料:染色不要の光学的組織検査向けのプラズモニックスライド
材料化学:効率の良い電極触媒反応のための表面ひずみの操作
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