Nature ハイライト
Cover Story:遺伝子の精霊:AIが解明したDNA塩基配列の進化的特性
Nature 603, 7901
50年以上にわたって、DNA塩基配列、遺伝子発現表現型、適応度の間の関連を理解し、遺伝子調節の進化の原理を解明する試みがなされてきた。今回E Vaishnav、C de Boer、A Regevたちは、この目標に一歩近づく、調節DNA配列を理解し操作するための枠組みについて報告している。著者たちは、プロモーターDNA配列を与えると遺伝子発現を予測するディープニューラルネットワークモデルを用いて開発した「預言者」を中心にしてこの枠組みを構築した。このニューラルネットワークは、数千万のプロモーター配列の発現測定データを用いて訓練された。その結果、調節DNA配列の進化史と将来の進化可能性を調べたり、合成生物学用途に調節DNA配列を設計したりするのに十分なほど、うまく塩基配列から発現を予測するAIの預言者が得られた。表紙は、進化可能性の範囲の極限に塩基配列の進化特性を視覚的に表現したものである。
2022年3月17日号の Nature ハイライト
原子物理学:心地良いヘリウムのお風呂
量子物理学:量子的手法と古典的手法を組み合わせた計算法
物性物理学:定常的なフロケ–アンドレーエフ状態
工学:タンポポの種子を模したデバイス
物性物理学:超平坦表面の耐酸化性
化学:酵素カスケードによる医薬品候補の生成
生態学:火事抑制によるサバンナの炭素貯蔵の増加はわずかだった
気候科学:大気中に残留するCO2の割合が減っている
神経科学:動く標的を舌で追う
神経科学:卵胞刺激ホルモンと閉経期アルツハイマー病の関連
細胞生物学:細胞の運命を変える代替TCA回路
生化学:あらゆる生物がメタンを作る
コロナウイルス:オミクロン株に対するT細胞交差反応性
コロナウイルス:SARS-CoV-2ワクチンによる交差反応性
免疫学:胎仔–母体のB細胞免疫寛容
分子生物学:細菌で衝突したリボソームを識別する救済機構
分子生物学:DNA修復ATPアーゼMutS2のもう1つの役割
微生物学:グアニジンを窒素源として利用可能にする加水分解酵素
生化学:タンパク質の金属イオン選択性を変える
構造生物学:少数のタンパク質からなる集合の構造を解く