Nature ハイライト
Cover Story:気候公約:現在の公約を完全に実現すれば、温暖化を2°C弱に抑えられるが1.5°Cにはまだ手が届かない
Nature 604, 7905
2015年12月に採択されたパリ気候協定では、地球温暖化を産業革命前のレベルから2°Cを十分下回るように抑え、1.5°Cに制限する取り組みを追及することを、世界中の国々が合意した。しかし、当時の二酸化炭素(CO2)排出量削減に関する各国の公約は限定的だったため、この目標の実現は難しいと思われた。今回M Meinshausenたちは、2015年以降に検討された各国の気候目標を分析し、各国のこれまでの公約が全て十分に実行されれば、温暖化を2°C弱に抑制できることを見いだしている。著者たちはさらに、温暖化を2°Cを十分下回るか1.5°Cに抑えるには、2030年までの公約の強化、こうした公約を果たすための行動、今世紀の中頃までにCO2排出量を正味でゼロにするというより長期的な目標が必要であると思われると指摘している。
2022年4月14日号の Nature ハイライト
工学:脳型コンピューティングの実現に向けて
天文学:銀河とクエーサーを橋渡しする天体の発見
デバイス物理学:モアレ2層グラフェンでできたインテリジェント赤外線センサー
材料科学:強度と延性を兼ね備えた新しい金属構造
エネルギー科学:従来性能を凌駕する有機無機ハイブリッド太陽電池
エネルギー科学:効率が40%の熱光起電力デバイス
電気化学:電気化学を用いた交差求電子剤カップリング
化学:キラルなスルフィン酸エステルの合成
計算生物学:ゲノムデータに基準を設ける
神経科学:脳のニューロンが生み出される順番
微生物学:パンデミックコレラ菌がプラスミドの排除に用いる2つの防御系
コロナウイルス:ヒトに感染性を示すSARS-CoV-2関連コウモリコロナウイルス
免疫学:肥満症による免疫応答の変化
生物工学:サプレッサーtRNAのAAV送達による遺伝子治療戦略
発生生物学:器官間の代謝の違いが妊娠中期の発生に重要
腫瘍生物学:黒色腫と解剖学的位置の関係性
分子生物学:VSG転写産物を安定化するRNA修飾
生化学:細菌外膜のリポ多糖を作る酵素
構造生物学:触ると変形して開くPIEZO1チャネル
生物物理学:天然の膜内でのシグナル伝達カスケードを質量分析法によって調べる