Nature ハイライト
Cover Story:視覚的誇示:翼竜類が色のついた羽毛を使って視覚でコミュニケーションをしていたことを示唆する化石
Nature 604, 7907
表紙は、トゥパンダクティルス類の翼竜Tupandactylus imperatorの想像図である。羽毛のある翼竜類はこれまでにも報告されているが、こうした主張には異論があり、革状の翼を持つ翼竜類に現代の鳥類のようなさまざまな色の羽毛があったかは明らかになっていない。今回A Cincottaたちは、翼竜類に羽毛があっただけでなく、おそらくその羽毛にはさまざまな色がついていたことを示す証拠を提示している。著者たちは、ブラジルで発見された約1億1300万年前のトゥパンダクティルス類の部分的な頭蓋を調べた。その結果、とさかの基部に沿って2種類の羽毛が見いだされ、その1つには現代の鳥類の羽毛に非常によく似た分岐構造の特徴があることが分かった。さらに、両方の種類の羽毛ととさかの皮膚に、色素を作る細胞小器官が存在することも明らかになった。著者たちは、こうした色のついた羽毛は視覚的なコミュニケーションに使われたと思われ、トゥパンダクティルスにおけるそうした羽毛の存在によって、羽毛の色を操作する能力の起源がこれまで考えられていたよりさらにさかのぼることが示されたと示唆している。
2022年4月28日号の Nature ハイライト
材料科学:材料科学におけるFAIRなデータ
惑星科学:初期太陽系のガス円盤の不安定性
物性物理学:結び目理論で磁性体を理解する
物性物理学:ジョセフソンダイオードの実現
工学:生物よりもはるかに高く跳躍できる機械
高分子化学:機械学習に基づくPET加水分解酵素の改変
化学:廃棄物から薬剤を合成する経路を導くコンピューターアルゴリズム
化学:亜酸化窒素を用いたフェノール合成
遺伝学:体細胞モザイク現象から脳の発生過程を読み解く
神経画像化:SARS-CoV-2感染による脳構造の変化
神経科学:抑えることでうまくいく
ゲノミクス:アルツハイマー病の脳のニューロンにおけるDNAの変化
細胞生物学:カニクイザル細胞アトラス
微生物学:腸マイクロバイオームに対する環境要因の影響
免疫学:中枢神経系マクロファージの起源
遺伝学:CCNE1増幅がんでのPKMYT1阻害による合成致死
構造生物学:接着型Gタンパク質共役受容体の自己活性化機構