Nature ハイライト
Cover Story:高地の暮らし:極端な高地で顕花植物が繁茂するのを助ける分子機構
Nature 606, 7914
表紙は、エクアドルのチンボラソ県にあるアルタール山の高地で育つ植物である。極端に高い高度は、大半の生物に難題をもたらし、顕花植物もその例外ではない。しかし、顕花植物は、海抜6400 mほどの高地でも育つことが見いだされている。今回M Holdsworthたちは、植物が極端な高地に適応するのを助ける分子機構を明らかにしている。彼らは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、トマト、ケシ、ミナトカモジグサ(Brachypodium distachyon)という、顕花植物の4つの異なるクレードを代表する植物を調べた。その結果、植物は遺伝的適応を用いて、大気中の酸素(酸素分圧は高度とともに低下する)に対する感受性を調節していることが分かった。植物は、周囲の酸素レベルを解読して、自身が育つ高度を感知し、内部の生化学過程を最適化できるのである。
2022年6月16日号の Nature ハイライト
天文学:紫外線で暗い原始銀河団の種族の発見
素粒子物理学:電子磁気モーメントの高精度測定
量子物理学:原子でできたはしごで見えるトポロジカル相
量子物理学:超伝導キュービットを光で読み出す
物性物理学:ねじれ3層グラフェンの超伝導
フォトニクス:オンチップ・フォトニック・ディープニューラルネットワークによる画像分類
地球科学:地表の過程とリソスフェアの強度が制御する山脈の地形
古生物学:恐竜の代謝速度を推測する
遺伝学:トマトのグラフパンゲノム
遺伝学:ジャガイモゲノムの進化と多様性
心理学:医師の見解を正しく伝えればワクチン接種率は上がる
神経科学:嗅覚経験がグリオーマ形成に関与
神経科学:アストロサイト反応性の変化が障害の転帰に影響する
発生生物学:リンパ管の分化転換を介して起こる血管生成
免疫学:単球によるFcγR依存的なSARS-CoV-2の取り込みが炎症を誘導する
免疫学:慢性COVID-19では感染マクロファージでインフラマソームが活性化する
がん免疫療法:ADAR1はZBP1誘導性ネクロトーシスを抑制してがん免疫療法応答を妨げる
構造生物学:ミトリボソームの組み立て過程