Nature ハイライト
Cover Story:平等な野原:草食動物は、背の低い植物が光を巡って競争できるようにすることで草原の多様性の維持に役立つ
Nature 611, 7935
土壌に施肥したり、ヒツジなどのグレーザー(主に草本を採食する動物)を排除したりすると、草原の植物多様性が低下する。今回A Eskelinenたちは、こうした多様性の低下を駆動する主要な要因が、光を巡る植物種間の競争であることを示している。彼女らは、ドイツの草原で研究を行い、地表面の近くにランプを置くことで、背の高い植物の活発な成長による光の遮蔽効果を弱めた。その結果、施肥や草食動物の排除によって背の高い植物の成長が促進され、光量が減少するとともに多様性が低下するが、地表の近くに光源を置くとこうした影響が相殺され、多様性の維持に役立つことが分かった。今回の結果は、野生および家畜化されたグレーザーの両方が草原の生物多様性の保護に役立つ可能性を示唆している。
2022年11月10日号の Nature ハイライト
量子物理学:湾曲した時空を模擬する量子シミュレーター
原子核物理学:陽子のもう1つの謎
材料科学:高性能なn型導電性高分子の実現
材料科学:表面反応による逆構造型ペロブスカイト太陽電池の性能向上
化学:単原子触媒を担体上に「のり付け」する
材料化学:水と重水を分離する
気候科学:軌道離心率の変化による赤道太平洋の海面水温の季節変動
進化学:鳥類の骨格の進化には環境が複雑に影響した
遺伝学:免疫遺伝子の進化と黒死病の関連
微生物学:細菌のThoeris抗ファージ防御機構とファージによる回避機構
医療政策:COVID-19終息に向けた多国間コンセンサス
免疫学:APOEバリアントがCOVID-19に及ぼす影響
免疫学:機能性抗体に見られる軽鎖の一貫性
細胞生物学:免疫チェックポイントは老化と関係する
細胞生物学:粘度ががんの転移に関与
がんゲノミクス:急性骨髄性白血病でのクロマチン立体構造の変化
構造生物学:酵母SEA複合体のクライオ電子顕微鏡構造
腫瘍免疫学:侵害受容器ニューロンが腫瘍増殖を促す