Nature ハイライト
Cover Story:ねじれ因子:形状を調整できる光学的に活性なボウタイをナノシートが形成する
Nature 615, 7952
キラル分子は、成分は同じだが互いに鏡像になっている構造である。今回N Kottovたちは、自己組織化してボウタイのような微粒子を形成するナノシートを用いて、キラリティーの幾何学的測度を化学構造に使うのが実用的かどうか調べている。このナノシートは、階層的に組織化してナノリボンになり、さらにそれらが積み重なりねじれて、ボウタイに似た形状になる(表紙の画像)。このねじれの方向は、ナノシートを作るのに使った分子のキラリティーに依存する。重要なのは、ボウタイのねじれ角を高度に制御できることである。著者たちは、さまざまなボウタイ型粒子と円偏光の相互作用が、粒子のキラリティー測度に応じて異なることを見いだした。さらに彼らは、今回のボウタイ型粒子を織物の上に印刷して、フォトニック活性メタサーフェスも作り、これがライダー(LIDAR)の基準マーカーの基礎になる可能性があると示唆している。
2023年3月16日号の Nature ハイライト
物性物理学:高温超伝導体の擬ギャップ相のトポロジカルなスピンテクスチャー
フォトニクス:Si3N4フォトニック集積回路と薄膜LiNbO3を組み合わせた高性能レーザー
化学:イオン–分子反応におけるプロトンのトンネリング
化学:酸素を立体中心とする分子
環境科学:湿潤熱帯における森林の炭素吸収量
気候科学:北極海の海氷レジームのシフト
地球化学:マントル深部の高温の溶融とクラトンの形成
地球科学:深発地震の余効変動が示す弱いマントル遷移層底部
生態学:将来的な温暖化の陸生脊椎動物への影響
進化学:幻だったカンブリア紀の苔虫動物
医学研究:神経免疫系を乗っ取って免疫から逃れる
免疫学:抗原間の距離が初回免疫への依存度を決める
代謝:フマル酸ヒドラターゼが果たすマクロファージでの重要な役割
代謝:フマル酸の蓄積で炎症応答が起こる仕組み
生物工学:論理ゲート制御が可能な改良型CAR T細胞
腫瘍生物学:細胞膜ブレブががん細胞を生き延びさせる
細胞生物学:核小体でのrRNAの成熟を確実に進めるタンパク質
構造生物学:マイコバクテリア由来のヒドロゲナーゼHucによる大気中H2酸化の構造基盤