Nature ハイライト
Cover Story:ループのフィードバック:ゲノムDNAの折りたたみを誘導する調節機構
Nature 616, 7958
真核生物では、タンパク質複合体のコヒーシンが、ゲノムのDNAをループ状に押し出すことによって、DNAを折りたたむのに重要な役割を果たしている。DNA結合タンパク質CTCFは、この過程の重要な要素で、ループの形成を調節していると提案されている。今回J PetersとC Dekkerたちは、CTCFの作用の背後にある機構に光を当てている。彼らは、単一のCTCF分子(表紙にピンクで示されている)とコヒーシン(青)の間の相互作用をin vitroで可視化し、CTCFが、コヒーシンによるループの押し出しを阻害するのに十分であることを見いだした。また、CTCFは、ループ押し出しの阻止を方向に依存した形で行うだけでなく、ループを縮ませたり、大きくなる方向を変えたりする場合があることも分かった。重要なのは、CTCFのループ押し出しを阻害する作用の調節的役割自体が、CTCFとコヒーシンが結合するDNAの張力によって制御されていることである。
2023年4月27日号の Nature ハイライト
天文学:ブラックホールとジェットをつなぐ降着構造
量子物理学:二次元原子配列における連続対称性の破れ
工学:人間とAIの協力により効率化される半導体製造
材料科学:ペロブスカイト光子計数検出器
ナノスケール材料:MoS2膜におけるpHに依存する透水性
エネルギー科学:揮発性塩化アルキルアンモニウムによるペロブスカイト膜の制御
サステイナブルケミストリー:非混和性混合プラスチックを相溶化する方法
気候科学:泥炭地のアカシアプランテーションにおける温室効果ガスの収支
生理学:クローン造血が肝疾患リスクを上昇させる
遺伝学:クローン造血におけるTCL1A活性化の役割
幹細胞:白髪化の予防法になり得る新機構
腫瘍生物学:乳酸の蓄積が細胞周期の進行を調節する
腫瘍生物学:染色体外DNAが食道腺がんのプログレッションに関与
がん:がん細胞におけるSTINGが転移制御のカギとなる
遺伝学:老化を食い止め、寿命を延ばす方法
分子生物学:転写–核外輸送複合体のクライオ電子顕微鏡構造
分子生物学:複製起点のクロマチン構造を正しく整える仕組み
生物物理学:二量体Smc5/6によるDNAループ押し出し