Nature ハイライト
Cover Story:問題を抱えた水系:サンゴ礁と淡水生態系のプラスチック汚染
Nature 619, 7969
ウニは、海草の葉やがれきの小さな破片を取得して、海底に溶け込むのに役立てることが多いが、表紙のミナミイイジマフクロウニ(Asthenosoma varium)は、青色のプラスチック袋の残骸をその代わりに使っており、捨てられてサンゴ礁に引っかかった釣り糸に絡まっている。フィリピンの深さ30 mの海底で撮影されたこの写真は、世界の生態系のプラスチック汚染が高まっていることを浮き彫りにしている。今週号では2報の論文が、遠隔の水環境でさえプラスチックの影響を受けていることを示し、その程度についての定量化に貢献している。H Pinheiroたちは、サンゴ礁に注目して、太平洋、大西洋、インド洋全域の25の海域にある84カ所のサンゴ礁においてプラスチック汚染物を探った。また、V Navaたちは、計23カ国の38カ所の湖や貯水池でマイクロプラスチックを調べた。どちらのチームも、プラスチック汚染は蔓延しており、監視と管理を全ての水域に広げるべきであるという、同じ結論に達している。
2023年7月13日号の Nature ハイライト
天文学:ボイド内の銀河で遅れて生じる星形成
天文学:超低温矮星の放射線帯
量子物理学:単一電子のスピン共鳴の検出
量子コンピューティング:高速な量子MCMCアルゴリズムの実証
物性物理学:銅酸化物と類似した特性の超伝導ニッケル酸塩
材料科学:矛盾する特性を併せ持つ有機–無機ハイブリッド材料
物理化学:1個の光子の吸収で始まる光合成
気候科学:温暖化による降雪から降雨への変化が極端な降雨を増加させる
遺伝学:多発性硬化症の新規リスクアレル
神経科学:逆のようで逆でない2つの神経信号
ウイルス学:異種間伝播の障壁となるヒトBTN3A3
腫瘍免疫学:抗腫瘍免疫応答を制御するB細胞の仕組み
健康科学:言語モデルを訓練して臨床に役立てる
細胞分裂:制限点後も細胞周期からの脱出は起こり得る
細胞生物学:FSP1の相分離によるフェロトーシスの促進
分子生物学:パイオニア転写因子が凝縮クロマチンに接近する仕組み
分子生物学:bHLH転写因子のヌクレオソームへの結合の構造的基盤
生化学:厳しくするより、いいかげんな方が良いこともある
構造生物学:SARS-CoV-2はスパイクタンパク質の変形に助けられて宿主細胞に侵入する