Nature ハイライト
Cover Story:気候ストレス:アマゾン熱帯雨林の生態系は2050年までに転換点に達する可能性がある
Nature 626, 7999
表紙は、ブラジル・マットグロッソ州のアウタ・フロレスタで、アマゾン熱帯雨林の霧のかかった朝を捉えた写真である。地球の生物多様性の10%が存在するこの熱帯雨林は、重要な炭素貯蔵地であり、地球の気候の安定化に役立っている。今回B Floresたちは、早ければ2050年には、気候ストレスと土地利用ストレスによって、この熱帯雨林が転換点を超える可能性があることを明らかにしている。著者たちは、古記録、気候モデル、観測データを用いて、水ストレスの5つの原因、すなわち地球温暖化、年間降水量、季節ごとの降雨強度、乾季の長さ、森林伐採を調べた。分析の結果、アマゾン川流域の森林の10~47%が、今後、生態系の遷移を引き起こす可能性がある水ストレスにさらされることが明らかになり、これによって生態系は2050年以降に転換点を超え、崩壊が起こる可能性があることが示された。
2024年2月15日号の Nature ハイライト
天文学:グリッチの引き金で生じた高速電波バースト
量子物理学:量子プロセッサーで実現された非アーベル型トポロジカル秩序
量子物理学:真空ゆらぎを下回るオプトメカニカル・スクイージングを室温で実現
物性物理学:交代磁性によるクラマース縮退の解除
化学:配位子による鉛ペロブスカイトナノ結晶のコロイド安定性向上
気候科学:熱帯低気圧にさらされた人々の全球プロファイル
集団健康科学:アジア人の大規模前向き出生コホート研究
神経科学:グリア療法の新展開
神経科学:どの行為がドーパミン放出を引き起こすかを見極める
神経科学:脳はどのように話を聴くのか
神経科学:発話過程をニューロン単位で明らかにする
発生生物学:植物の根のパターン形成と成長を協調させる機構
微生物学:グラム陰性細菌の外膜を保護するストレス誘導性ナノドメイン
免疫療法:自然に生じる変異でT細胞療法を増強
消化器がん:細胞外マトリックスの粘弾性上昇は肝臓がんの進行を促す
システム生物学:治療標的となり得るアロステリック部位の包括的な特定
分子生物学:精製タンパク質を組み立て直して、姉妹染色分体間接着の形成機構を解明
システム生物学:1個の細菌細胞の転写–複製相互作用から明らかになったゲノム調節の状況
生物物理学:酸素を発生する光化学系IIのS状態遷移中の構造