Nature ハイライト
Cover Story:複合体の構造予測:AlphaFold3でタンパク質と分子の相互作用の予測が可能に
Nature 630, 8016
2018年に最初に発表されたAIツールのAlphaFoldと、2021年に発表されたそのアップデート版であるAlphaFold2は生物学に大変革をもたらし、研究者がタンパク質の三次元(3D)構造を予測し、モデル化できるようになった。今週号では、Googleディープマインド社のチームとIsomorphic Labs社のチームが、その最新版であるAlphaFold3について報告している。AlphaFold3では、AlphaFold2の深層学習アーキテクチャーにかなりの改良が加えられ、イオン、小分子、RNAやDNAのような核酸など、他の生体分子と相互作用しているタンパク質について、正確なモデルを作出することが可能になった。研究チームは、新しいモデルのAlphaFold3はタンパク質構造データバンク(PDB)に保存されているほぼ全てのタイプの生体分子にわたって、複合体の構造を予測できると述べている。開発チームの研究者たちは、相互作用をモデル化できるAlphaFold3の能力は、生物学的過程の理解を促進し、また薬剤開発の助けにもなるだろうと考えている。
2024年6月13日号の Nature ハイライト
天文学:潮汐破壊後にできた円盤による歳差運動
物性物理学:傾斜スピン秩序によるマグノニクス向けプラットフォーム
エレクトロニクス:ファンデルワールス積層による3D半導体集積化
2D材料:2D半導体の極性を操作できる3Dファンデルワールスヘテロ構造
生体材料:接着性インプラント–組織界面による繊維被膜形成の抑制
材料化学:トリペプチドの自己集合によるガラス状態形成
化学工学:リグニンの縮合傾向を利用する
生態学:データで明らかになった生物多様性保全活動の不足
発生生物学:器官の形態や配置に見られる性差はこうして生じる
ゲノミクス:類人猿の性染色体進化を読み解く
幹細胞:ヒト造血幹細胞機能のマーカーとなるMYCT1
微生物学:細菌の力を借りて農業起源のN2O排出を削減する
微生物学:病原性グラム陰性細菌選択的な抗生物質の開発
免疫学:GSDMDによる孔形成にはパルミトイル化が不可欠
免疫学:染色体21q22関連疾患の原因遺伝子ETS2の特定
神経科学:老化グリアが組織老化に影響を及ぼす仕組み
生化学:細菌の免疫系であるCRISPR系はさらに進化を続ける
構造生物学:コリンおよびエタノールアミン輸送体の輸送機構
構造生物学:生理的温度でのイオンチャネルの挙動