Nature ハイライト

Cover Story:焼き尽くされた大地?:巨大山火事がオーストラリアの生物多様性に及ぼした影響

Nature 635, 8040

表紙は、2020年2月にオーストラリアのコンラン岬で起きた山火事の焼け跡で、わずかな食料を手にするオグロワラビー(Wallabia bicolor)である。2019年から2020年にかけて、世界的にも前例のない巨大山火事がオーストラリアの森林を襲い、1000万ha以上の土地を焼き尽くした。今週号では、D Driscollたちが、この大火災がオーストラリアの生物多様性に及ぼした影響の全容を明らかにしている。彼らは、巨大山火事の全体像を構築するために、焼失地域全域から得られた動植物を含む複数のデータを分析した。そして、全体的な平均の影響だけでなく、負の影響と正の影響を別々に考慮するメタ分析の新しい手法を用いて、山火事の影響の重要な調節要因を特定した。最も影響力のある破壊要因は、過去40年間の火事の発生回数であり、火事の発生回数が多いほど、負の影響のサイズも正の影響のサイズも約2倍になることが分かった。近隣に未焼失の土地が多い場合、ひどく焼失した場所でも山火事の影響は緩和されることも見いだされた。研究チームはさらに、将来の火事の影響を緩和するのに役立つ戦略を提案しているが、極端な山火事の起こりやすい気象の増加を抑制できるのは、炭素排出量を迅速かつ大幅に削減することだけだと結論付けている。

2024年11月28日号の Nature ハイライト

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