Nature ハイライト

Cover Story:宇宙素粒子を捕まえる:深海の望遠鏡が過去最高記録のエネルギーのニュートリノを検出

Nature 638, 8050

表紙に描かれているのは、地中海に沈む夕日を背にした、キュービックキロメーターニュートリノ望遠鏡(KM3NeT)の光センサーである。これは現在、イタリアのシチリア島沖およびフランスのプロヴァンス沖の深海において、巨大な三次元(3D)グリッドを構成するよう配置されている数千のセンサーのうちの1つである。KM3NeTは、宇宙の高エネルギー事象によって生成され得る素粒子である高エネルギーニュートリノを検出する。高エネルギーニュートリノは、ニュートリノと水分子との相互作用で生じた生成物が検出器内を通過する際、微かな閃光として観測される。今週号では、KM3NeTコラボレーションが、これまでに検出された中で最高エネルギーの宇宙ニュートリノの観測結果について報告している。シチリア島沖に設置された望遠鏡は、約120ペタ電子ボルト(PeV)のエネルギーを持つミューオンからの信号を捉えた。これは、約220 PeVのエネルギーを有するニュートリノに由来する可能性が高い。これまでに検出された最も高いエネルギーのニュートリノは、この30分の1のエネルギーであった。この極めて高いエネルギーとほぼ水平の進行方向は、このニュートリノが地球外起源であることを示唆している。このニュートリノの推定される発生源は、銀河系外にある。

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