Nature ハイライト
Cover Story:宇宙素粒子を捕まえる:深海の望遠鏡が過去最高記録のエネルギーのニュートリノを検出
Nature 638, 8050
表紙に描かれているのは、地中海に沈む夕日を背にした、キュービックキロメーターニュートリノ望遠鏡(KM3NeT)の光センサーである。これは現在、イタリアのシチリア島沖およびフランスのプロヴァンス沖の深海において、巨大な三次元(3D)グリッドを構成するよう配置されている数千のセンサーのうちの1つである。KM3NeTは、宇宙の高エネルギー事象によって生成され得る素粒子である高エネルギーニュートリノを検出する。高エネルギーニュートリノは、ニュートリノと水分子との相互作用で生じた生成物が検出器内を通過する際、微かな閃光として観測される。今週号では、KM3NeTコラボレーションが、これまでに検出された中で最高エネルギーの宇宙ニュートリノの観測結果について報告している。シチリア島沖に設置された望遠鏡は、約120ペタ電子ボルト(PeV)のエネルギーを持つミューオンからの信号を捉えた。これは、約220 PeVのエネルギーを有するニュートリノに由来する可能性が高い。これまでに検出された最も高いエネルギーのニュートリノは、この30分の1のエネルギーであった。この極めて高いエネルギーとほぼ水平の進行方向は、このニュートリノが地球外起源であることを示唆している。このニュートリノの推定される発生源は、銀河系外にある。
2025年2月13日号の Nature ハイライト
気候科学:温室効果ガス会計システムと受動的CO2吸収
天文学:JWSTによるクーリングフローの直接撮像
天文学:ケンタウルス座銀河団の中心部のガス運動
天体物理学:超大質量ブラックホール周辺からのミリヘルツ振動
量子物理学:分散量子コンピューティングによるアルゴリズムの実証
トポロジカル物理学:水に浮かぶ粒子のトポロジカルな制御
医用生体工学:超音波印加で薬物を捕捉・送達できる水素結合性有機構造体
植物生態学:植物の多様性効果は一様ではない
古生物学:尾の短い鳥類はジュラ紀に出現していた
ウイルス学:コウモリゲノムが明らかにするウイルス耐性機構
社会科学:教授昇進基準の国際比較
ニューロン発生:回路形成の制御と精神疾患
神経科学:記憶を消去できる分子
免疫学:グランザイムKは炎症性疾患の有望な治療標的
細胞生物学:損傷タンパク質のC末端アミド化は新規デグロンである
がん遺伝学:病的意義が不明のバリアント(VUS)の機能評価と臨床的分類
生物工学:高次の三角形分割数ナノケージを設計する
生物工学:対称性を超えることがタンパク質の大型集合体設計の秘訣らしい
構造生物学:GABAA受容体の構造