Nature ハイライト

細胞：ノイズを感知

Nature 444, 7119

遺伝的に同一な細胞でも、ある時点でのあるタンパク質の生産量はさまざまである。このような遺伝子発現の「ノイズ」は、細胞運命の決定や薬剤耐性など、多くの重要な過程に関係していることが明らかになっている。しかし、この現象が直接観察されたのは、これまでのところ微生物集団での断片的な例だけだった。今回行われた新しい研究では、ヒトのがん細胞でこのようなノイズの経時変化が観察されるという進展があり、また異なるタンパク質についての比較も行われている。この結果から、個々の細胞の状態の「記憶」が驚くほど長期にわたっており、培養で2世代以上維持されることもあることがわかった。ヒト細胞の薬剤に対する反応は不均一で遅発的だが、その基盤となっているのは今回の重要な結果なのかもしれない。

2006年11月30日号の Nature ハイライト

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