Nature ハイライト 聴覚:視覚障害者の優れた聴覚 2004年7月15日 Nature 430, 6997 視力障害者では、失われた視力の埋め合わせとして優れた聴力が発達するのだろう か? その答えはイエスだ。こうした人たちではピッチを識別する能力がより優れていることがP Belinたちによる報告で明らかにされた。目の見えない人は健常者と比較して、音を聴いて自分のいる位置を把握する能力が優れているといわれている。しかし、こうした認識力の強化が、音楽や声を聴き分ける能力といった他の聴覚領域にも及ぶかどうかについては不明であった。Belinたちは今回、視覚障害者では、2つの音の間でのピッチの変化の判定能力が目の見える対照者より優れており、変化の速度が対照者が感知できる速度の10倍になっても判定できることを示した。ただし、この高い能力は、幼児期以前に視力を失った人たちでしか認められない。今回の結果は、ミュージシャンやピアノの調律師たちがとっくの昔に気づいていたことに、科学がやっと追いついたということのようだ。 2004年7月15日号の Nature ハイライト 政策:各国の科学的資産を再評価する 宇宙:隕石の特急便 物理:ミクロ世界の磁気の力 医学:幹細胞は変化する 進化:鳥類の進化は「断続」的 聴覚:視覚障害者の優れた聴覚 目次へ戻る