Nature ハイライト

物理:核スピンを使う量子コンピューティング

Nature 488, 7411

核スピンが量子コンピューターの能動素子にならないか、という考えが広がっている。電子スピンとは異なり、核スピンは環境から十分に分離されており、安定な量子コヒーレンスを実現するのに好都合だからである。そのための課題は、核スピンのアドレス指定と操作である。しかし、今回のR Vincentたちの研究によって、核スピン利用の実現に一歩近づいた。1個の単分子磁石内に組み込まれた1個の金属原子の長寿命核スピン状態を電子的に読み出せることを示したのである。また著者たちは、数十秒という長い核スピン寿命を観測し、スピン状態ダイナミクスを決定することもできた。

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