Nature ハイライト
物理:核スピンを使う量子コンピューティング
Nature 488, 7411
核スピンが量子コンピューターの能動素子にならないか、という考えが広がっている。電子スピンとは異なり、核スピンは環境から十分に分離されており、安定な量子コヒーレンスを実現するのに好都合だからである。そのための課題は、核スピンのアドレス指定と操作である。しかし、今回のR Vincentたちの研究によって、核スピン利用の実現に一歩近づいた。1個の単分子磁石内に組み込まれた1個の金属原子の長寿命核スピン状態を電子的に読み出せることを示したのである。また著者たちは、数十秒という長い核スピン寿命を観測し、スピン状態ダイナミクスを決定することもできた。
2012年8月16日号の Nature ハイライト
医学:新しい種類の抗がん治療標的
脳:皮質の介在ニューロンを種類分けする
宇宙:銀河団の冷却流
物理:核スピンを使う量子コンピューティング
海洋:窒素収支の問題
気候:南太平洋上の嵐雲
遺伝:アメリカ大陸への道
脳:神経細胞の細胞ごとの違い
生物物理:好中球がローリングし続ける秘訣
発生:エピジェネティックな幹細胞プログラム化