Nature ハイライト

構造生物学:MATE薬剤輸送体の構造

Nature 496, 7444

阻害性大環状ペプチドMaD5が内側ポケットに結合したMATE輸送体の構造。
阻害性大環状ペプチドMaD5が内側ポケットに結合したMATE輸送体の構造。 | 拡大する

Credit: Osamu Nureki

MATE(multidrug and toxic compound extrusion; 多剤・毒性化合物排出)ファミリーの輸送体は、病原性細菌やがん細胞に多剤耐性を与える。濡木理(東京大学)たちは今回、超好熱古細菌(Pyrococcus furiosus)由来の、H+によって駆動されるMATE輸送体のX線結晶構造を明らかにしている。構造が解かれたのは、2つのアポ型コンホメーション、抗菌薬ノルフロキサシン誘導体が存在する場合の輸送体、それに新発見の3つの阻害性大環状ペプチド存在下での輸送体である。これらの一連の構造は、抗菌剤や抗がん剤への耐性に対抗できるMATE輸送体アンタゴニストの発見を促進するのに役立ちそうだ。

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