Nature ハイライト
進化:他とはちょっと違う有櫛動物
Nature 510, 7503
有櫛動物(クシクラゲ類)は謎の多い動物であり、2種類の神経系と、脳に似た単純な神経中枢とを備えていて、捕食性の生活様式に適合した中胚葉由来の筋肉を持っている。今回L Morozたちは、有櫛動物のテマリクラゲ類の一種であるPleurobrachia bacheiの概要ゲノムと、他の10種の有櫛動物のトランスクリプトームを報告している。有櫛動物のゲノムは、神経や免疫、発生に関わる遺伝子の含量が他の動物のゲノムと著しく異なっており、HOX遺伝子や標準的なマイクロRNA装置が存在せず、免疫の補体遺伝子が少ない。また、左右相称動物のニューロン特異的遺伝子と「古典的」な神経伝達物質経路の遺伝子の多くも、存在しないか、存在してもニューロンでは発現していない。著者たちは、有櫛動物の神経系と、おそらく筋肉の特異化とが、他の動物のものとは独立に進化したのだろうと考えている。
2014年6月5日号の Nature ハイライト
生体材料:注文に合わせて多成分タンパク質を設計する
進化:他とはちょっと違う有櫛動物
細胞生物学:マイクロRNAと呼吸器疾患
生化学:ヒトGLUT1グルコース輸送体の構造
宇宙:活動銀河核ジェットを駆動する強力な磁場
化学:新しいC–H結合の活性化法
気候科学:南極氷床の減少史
栄養:大気CO2濃度が上昇すると作物の栄養素が減少する
細胞生物学:リン酸化ユビキチンはパーキンの活性化因子である