Nature ハイライト

Cover Story:標的はアミロイド:抗体のaducanumabはアルツハイマー病に関連するヒト脳でのアミロイド沈着を軽減する

Nature 537, 7618

表紙は、抗体aducanumab(アデュカヌマブ)によるアミロイド斑の減少を示すPET画像である。この例では、脳でのベースライン(投薬前)のアミロイド沈着状態と54週にわたるaducanumab投与後の沈着状態を比較できる。aducanumabは組換えヒトモノクローナル抗体で、アルツハイマー病の神経変性過程に関わっていると考えられているアミロイドβ(Aβ)ペプチド凝集体を選択的に標的とする。ここのところ、複数のアルツハイマー病治療薬が開発過程でつまづいており、そのため新しい結果には、どんなものであっても強い関心が向けられている。今回、アルツハイマー病の前駆症状を示す患者、あるいは軽度のアルツハイマー病患者にaducanumabを月に1回静脈内注入するという臨床試験の中間結果が報告された。aducanumabの投与は脳のAβ斑を減少させ、この作用は臨床的な認知機能低下の投与量依存的な鈍化を伴っていた。この試験のデータは、Aβ除去療法薬としてaducanumabの開発をさらに進めることの裏付けとなる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度