Nature ハイライト
構造生物学:片頭痛に関係するCGRP受容体の構造がついに明らかになった
Nature 561, 7724
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体は、CLR(calcitonin receptor-like receptor)とRAMP1(receptor activity-modifying protein 1)からなる二量体である。CGRPは強力な血管拡張性神経ペプチドであって、片頭痛に関係している。CGRP受容体複合体を標的として片頭痛を防止する最初の抗体薬が最近承認された。今回の研究でP Sextonたちは、クラスBに属するこのGPCRと、RAMP1との複合体について、Gsタンパク質ヘテロ三量体と複合体を形成した状態のボルタ位相板クライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告している。この構造は、分子動力学シミュレーションの結果と共に、RAMPがCLRを安定化させてペプチド結合とシグナル伝達を行う仕組みについての知見と、GPCR機能の制御におけるRAMPのアロステリックな役割の詳細を明らかにしている。RAMP類は、CLRだけでなく、他の複数種のGPCRも修飾して一連の受容体表現系を生じさせる。従ってこの研究は、このような受容体複合体を治療のために標的とすることについて、解明をさらに進めるものだ。
2018年9月27日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:造血幹細胞の生涯の軌跡
免疫学:広域中和抗体の臨床応用
生化学:de novo βバレルの設計
構造生物学:片頭痛に関係するCGRP受容体の構造がついに明らかになった
材料科学:自律的に再構成されるメタマテリアル
光学材料:自己給電型フレキシブルエレクトロニクスに向けて
古生物学:初期の哺乳類が小さかった理由は顎の力学的構造で説明できる可能性がある
神経回路:対象物の能動的感知に体性感覚皮質は不要かもしれない
神経科学:体性感覚皮質は脊髄での触覚情報処理を調節する
細胞生物学:微小核における核膜組み立て異常の理解
構造生物学:膜に結合したレトロマーのクローズアップ