遺伝学:ヒトパンゲノムの概要参照配列が初めて発表される
First draft of a human pangenome
doi: 10.1038/s41586-023-05896-x
doi: 10.1038/s41586-023-05896-x
doi: 10.1038/s41587-021-01195-w
CRISPRによるゲノム編集は、今や分子生物学に定着した標準技術の1つであるだけでなく、重要な新規治療法群でもあり、臨床試験が始まっている。CRISPRツールは、ノックイン・ノックアウトモデル、生物学的スクリーニング、および遺伝子の多重スクリーニングによる複雑な生物学的性質の解明に不可欠となっている。これらの方法は、感度と再現性をさらに向上させるために絶えず改良され、すでに貴重な生物学的知見をもたらしている(Hanna & DoenchのReview参照)。
Cas9は今でも、研究室で最も広く用いられているエンドヌクレアーゼだが、その大きなサイズ、二本鎖切断への依存、オフターゲットのエンドヌクレアーゼ活性、遺伝子置換効率の低さから、好ましい特性を持つ新規酵素を発見するための研究と共に、従来型のエンドヌクレアーゼを改変して新たな活性の幅を広るための研究が推進されている。最近の例としては、dCas–デアミナーゼ融合タンパク質によるDNA塩基編集、Cas12kやCascadeとトランスポザーゼとの複合体によるDNAの組み込み、ADAR(RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ)酵素によるRNA塩基編集、さらにはdCasに結合させた転写調節因子やエピジェネティック調節因子などがある(Anzalone et al.のReview参照)。
こうした実験用ツールはトランスレーショナル研究プログラムに移行する例が増えており、臨床現場でのCRISPR薬の影響力が強まることが予想される(Editorial参照)。一部の臨床試験では、体細胞がex vivoで編集されて、患者の血流中に注入されている。Cas9とそのガイドRNAをアデノ随伴ウイルスベクターによって網膜下へ送達する試験も行われている。全般的に言うと、CRISPR療法で対応可能な疾患を大幅に増やすには、送達手段の最適化と刷新を目指した協調的な取り組みが必要となる。多くの点で、CRISPR装置をさらに広範な標的組織へ高効率で送達する新しい方法を発見することが重要な課題となろう(van Haasteren et al.のReview参照)。
小誌のポッドキャストForumでは、スペシャルエピソードとして、Markus ElsnerがJennifer DoudnaとDavid Liuにゲノム編集の今後の展望と課題を聞いている。著名人ポッドキャストシリーズでは、Brady Huggettが、エディタス・メディシン社とアビラ・セラピューティクス社のCEOを務めたKatrine Bosleyにインタビューしている。Bosleyは、オハイオ州での生い立ちやバイオテクノロジー業界での最初の仕事(一般事務職)について話し、CRISPR企業であるエディタス社での5年間が1000年のように感じられた理由を語っている。
最後に、CRISPRに基づく遺伝子編集法、疾患の治療法、および核酸のターゲッティング法に関連する最近の特許について概説する(Patent Table参照)。
doi: 10.1038/s41587-020-0612-2
doi: 10.1038/s41587-020-0599-8
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doi: 10.1038/s41587-019-0393-7
doi: 10.1038/s41587-020-0453-z
doi: 10.1038/s41587-020-0491-6