Volume 422 Number 6934

News & Views

ゲノム解読:アカパンカビからわかること

Revelations from a bread mould p.821

糸状菌類であるNeurospora crassaは、遺伝学研究者のお気に入りの生物である。そのゲノムの塩基配列が今回解読され、遺伝子の数が比較的多いといった予想外の結果がいくつか得られた。

doi: 10.1038/422821a

量子エレクトロニクス:電子を冷やす

The electron is cool p.822

1個の粒子を考える際、温度というのは注意を要する概念だが、粒子のエネルギーの「振動」はその代替として有用である。この動きをフィードバック的に制御することは、1個の電子を極低温まで冷やすのに使える。

doi: 10.1038/422822a

幹細胞:融合で除く特異性の壁

Fusion brings down barriers p.823

組織特異的な幹細胞が、別種の組織の特徴を持つ成熟細胞になる仕組みはまだわかっていない。マウスで、骨髄系由来の幹細胞が損傷を受けた肝臓の修復を行った例では、細胞融合が鍵であったことがわかった。

doi: 10.1038/422823a

天文学:最初にできた星たちの話

Telling the tale of the first stars p.825

HE0107-5240は、星は星でも、いろいろな意味で「スター」という方がふさわしい。化学的性質からいうと、今まで見つかったなかでもっとも原始的な星だし、宇宙の最初の元素の起源に関する論争でもその中心となっている「話題の星」なのである。

doi: 10.1038/422825a

生態学:甘い汁を吸っているのはゼニゴケ

A liverwort cheat p.826

ゼニゴケ、菌類と樹木の間のもつれあった三角関係が解き明かされつつある。樹木の炭素を菌類を経て取り上げることにより、この関係から利益を得ているのはどうやら、ゼニゴケらしい。

doi: 10.1038/422826a

癌:妨害をすり抜ける

Escape from inhibition p.827

Ablタンパク質に変異が生じるとある種の白血病が起きる。Ablの構造が決定され、白血病治療薬に耐性を持つ変異型のAblの正体がつきとめられたことで、このタンパク質の機能調節に必要な領域が明らかになった。

doi: 10.1038/422827a

Article

遺伝:糸状菌アカパンカビのゲノム配列

The genome sequence of the filamentous fungus p.859

doi: 10.1038/nature01554

Letters

宇宙:ブラックホールを形成する第一世代の超新星によって作られた極度に鉄の少ない星の元素組成の特徴的パターン

First-generation black-hole-forming supernovae and the metal abundance pattern of a very iron-poor star p.871

doi: 10.1038/nature01571

物性:高温超伝導体の交じり合わない超伝導性と反強磁性

No mixing of superconductivity and antiferromagnetism in a high-temperature superconductor p.873

doi: 10.1038/nature01544

物理:天然ビスマスの放射性崩壊から生ずるアルファ粒子の実験的検出

-particles from the radioactive decay of natural bismuth p.876

doi: 10.1038/nature01541

地球:マグマ現象により生じる熱水噴出孔の化学的性質の急速な変化

Magmatic events can produce rapid changes in hydrothermal vent chemistry p.878

doi: 10.1038/nature01569

生態:生物多様性の統一中立理論の検証

A test of the unified neutral theory of biodiversity p.881

doi: 10.1038/nature01583

集団生物学:致死的疾患どうしの生態学的干渉

Ecological interference between fatal diseases p.885

doi: 10.1038/nature01542

遺伝:病原性レプトスピラの全ゲノム配列解読により明らかになった固有の生理的・病原的な特徴

revealed by whole-genome sequencing p.888

doi: 10.1038/nature01597

細胞:骨髄由来の肝細胞の主な起源は細胞融合である

Cell fusion is the principal source of bone-marrow-derived hepatocytes p.897

doi: 10.1038/nature01531

細胞:移植された骨髄は細胞融合によって肝臓を再生する

Transplanted bone marrow regenerates liver by cell fusion p.901

doi: 10.1038/nature01539

発生:β‐カテニンに結合するWnt/Winglessシグナル経路の核内拮抗因子Chibby

-catenin-associated antagonist of the Wnt/Wingless pathway p.905

doi: 10.1038/nature01570

遺伝:DNAトリプレット反復配列はヘテロクロマチンタンパク質1に感受性を示すまだら状遺伝子抑制を引き起こす

DNA triplet repeats mediate heterochromatin-protein-1-sensitive variegated gene silencing p.909

doi: 10.1038/nature01596

Review Article

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