Volume 613 Number 7943

今週のハイライト

目次

Editorials

ワクチン接種に対して報奨金を出してもワクチンへの信頼感が損なわれないことを示した研究結果は、効果的な予防接種キャンペーンの設計に役立つだろう。

Vaccine incentives do not backfire — policymakers take note p.215

doi: 10.1038/d41586-023-00018-z

温暖化対策の目標を達成するには、気候変動枠組条約締約国会議(COP)での合意を待つことなく、化石燃料時代を終焉させなければならない。

Don’t wait for COP: the end of the fossil-fuel age must start now p.216

doi: 10.1038/d41586-023-00039-8

News

中国の研究チームが、量子コンピューターを使って、現在の一般的な暗号鍵を理論的には破ることができるという報告を。

Are quantum computers about to break online privacy? p.221

doi: 10.1038/d41586-023-00017-0

米国で感染者が増加しているSARS-CoV-2の新たなオミクロン変異株XBB.1.5は、世界的脅威となる可能性も。

Coronavirus variant XBB.1.5 rises in the United States — is it a global threat? p.222

doi: 10.1038/d41586-023-00014-3

COVID-19パンデミックの局面を変えると期待された抗ウイルス薬パキロビッドは、「リバウンド」や副作用の懸念などから使用が伸び悩みに。

COVID drug Paxlovid was hailed as a game-changer. What happened? p.224

doi: 10.1038/d41586-022-04576-6

ある分野を新たな方向に導くような論文や特許が、この半世紀で激減していることが明らかに。

‘Disruptive’ science has declined — and no one knows why p.225

doi: 10.1038/d41586-022-04577-5

「千人計画」によって中国に帰国した若手研究者は、海外に残っている同世代の研究者よりも多くの論文を発表。

China’s Thousand Talents Plan to entice researchers home boosted their output p.226

doi: 10.1038/d41586-023-00012-5

米国FDAがアルツハイマー病の新薬レカネマブを迅速承認したが、安全性には懸念も。

FDA approves Alzheimer’s drug lecanemab amid safety concerns p.227

doi: 10.1038/d41586-023-00030-3

米国の大学教科書では、気候変動に関する記述が2000年代よりも減少していて、より後ろに登場するようになっているとの調査結果が。

Climate-change content shrinks in US university textbooks p.228

doi: 10.1038/d41586-022-04487-6

News Features

インドの科学の多様性:カーストの壁

How India’s caste system limits diversity in science — in six charts p.230

インドのトップクラスの多くの研究機関では、いまだに特権階級が幅を利かせていることが、データから見て取れる。

doi: 10.1038/d41586-023-00015-2

大腸内視鏡検査の謎

Colonoscopies save lives. Why did a trial suggest they might not? p.235

最も有名ながん検診の1つで、多くの命を救っている大腸内視鏡検査について、ある大規模臨床試験で有効性に疑問が呈されたが、データを詳細に調べると別の物語が見えてきた。

doi: 10.1038/d41586-023-00020-5

News & Views

天文学:衝突が残した極端な物質の謎の手掛かり

Colliding neutron stars ring in a clue to puzzle of extreme matter p.245

今回、中性子星が衝突する際に放出されるγ線に検出された振動の周期から、宇宙における最も高温高密度の物質に関する知見が得られる可能性があることが分かり、地上実験では調べられない物理が明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-022-04580-w

微生物学:明らかになったアスガルド類アーキアの内部の秘密

Mysterious Asgard archaea microbes reveal their inner secrets p.246

今回、我々の細胞祖先に近縁であると提案されている微生物が、新たに実験室で培養された。その内部構造から、真核細胞の初期進化に関する手掛かりが得られている。

doi: 10.1038/d41586-022-04450-5

素粒子物理学:核反応によって否定されるニュートリノ仮説

Nuclear reaction rules out sterile-neutrino hypothesis p.248

原子炉による測定の異常な結果がきっかけとなって、ステライルニュートリノと呼ばれる捉えにくい粒子を見つける一連の実験が行われた。今回、こうした探索によって、ステライルニュートリノが存在しないことが確定的に示されたが、このアノマリーは未解決のまま残されている。

doi: 10.1038/d41586-022-04581-9

発生生物学:雄の線虫の放射線損傷は隔世遺伝する

A mechanism for inheriting radiation-induced DNA damage p.249

今回、放射線によって損傷した父系のDNAが、線虫の第一世代ではなく第二世代の胚に死をもたらすことが見いだされた。提案された機構は、ヒトではそうした影響が見られないことの説明に役立つ。

doi: 10.1038/d41586-022-04449-y

回顧:羽毛恐竜が初めて見つかってから25年

25th anniversary of the first known feathered dinosaurs p.251

鳥類の起源の理解は、1998年に羽毛のある恐竜の存在を明らかにした驚くべき化石の発見が報告されて、大きく前進した。この発見は、同年発表されたもう2点の羽毛恐竜化石の報告と共に、センセーションを巻き起こした。

doi: 10.1038/d41586-022-04586-4

Articles

天文学:短時間ガンマ線バーストにおけるキロヘルツの準周期的振動

Kilohertz quasiperiodic oscillations in short gamma-ray bursts p.253

doi: 10.1038/s41586-022-05497-0

素粒子物理学:235U核分裂のSTEREOニュートリノスペクトルによって否定されたステライルニュートリノ仮説

STEREO neutrino spectrum of 235U fission rejects sterile neutrino hypothesis p.257

doi: 10.1038/s41586-022-05568-2

物性物理学:光格子におけるフェルミオン間のユニタリp波相互作用

Unitary p-wave interactions between fermions in an optical lattice p.262

doi: 10.1038/s41586-022-05405-6

物性物理学:スピン–軌道近接効果を示す2層グラフェンにおける超伝導の増強

Enhanced superconductivity in spin–orbit proximitized bilayer graphene p.268

doi: 10.1038/s41586-022-05446-x

ナノスケールデバイス:量子限界に近づく二次元半導体接触

Approaching the quantum limit in two-dimensional semiconductor contacts p.274

doi: 10.1038/s41586-022-05431-4

ナノスケールデバイス:電動分子モーター

An electric molecular motor p.280

doi: 10.1038/s41586-022-05421-6

材料化学:金属有機構造体における配位子挿入機構による協同的NH3捕捉

A ligand insertion mechanism for cooperative NH3 capture in metal–organic frameworks p.287

doi: 10.1038/s41586-022-05409-2

気候科学:完新世の西南極大陸の季節別気温

Seasonal temperatures in West Antarctica during the Holocene p.292

doi: 10.1038/s41586-022-05411-8

地形学:掃流堆積物輸送における粒子形状の効果

Grain shape effects in bed load sediment transport p.298

doi: 10.1038/s41586-022-05564-6

地球科学:マントル条件下でブリッジマナイトよりゆっくり変形するペリクレース

Periclase deforms more slowly than bridgmanite under mantle conditions p.303

doi: 10.1038/s41586-022-05410-9

進化学:哺乳類における精子形成の分子進化

The molecular evolution of spermatogenesis across mammals p.308

doi: 10.1038/s41586-022-05547-7

神経科学:人工内耳の性能を向上させる青斑核の活動

Locus coeruleus activity improves cochlear implant performance p.317

doi: 10.1038/s41586-022-05554-8

神経科学:病原菌はフェロモン応答を調節して交尾を促進する

Pathogenic bacteria modulate pheromone response to promote mating p.324

doi: 10.1038/s41586-022-05561-9

微生物学:アスガルド類アーキアのアクチン細胞骨格と複雑な細胞構造

Actin cytoskeleton and complex cell architecture in an Asgard archaeon p.332

doi: 10.1038/s41586-022-05550-y

生態学:コウモリの生態の急激な変化によって引き起こされる病原体の種間伝播

Pathogen spillover driven by rapid changes in bat ecology p.340

doi: 10.1038/s41586-022-05506-2

細胞生物学:ヒトiPS細胞の統合された細胞内構成とその変動

Integrated intracellular organization and its variations in human iPS cells p.345

doi: 10.1038/s41586-022-05563-7

健康科学:正常ヒト細胞タイプのDNAメチル化アトラス

A DNA methylation atlas of normal human cell types p.355

doi: 10.1038/s41586-022-05580-6

発生生物学:ヒストンを介した修復の制限による父系DNA損傷の遺伝

Inheritance of paternal DNA damage by histone-mediated repair restriction p.365

doi: 10.1038/s41586-022-05544-w

構造生物学:黄色ブドウ球菌の広域β-ラクタム耐性の構造基盤

Structural basis of broad-spectrum β-lactam resistance in Staphylococcus aureus p.375

doi: 10.1038/s41586-022-05583-3

構造生物学:METTL1–WDR4によるtRNAメチル化に関わる構造と機構

Structures and mechanisms of tRNA methylation by METTL1–WDR4 p.383

doi: 10.1038/s41586-022-05565-5

構造生物学:METTL1–WDR4による調節されたm7G tRNA修飾の構造基盤

Structural basis of regulated m7G tRNA modification by METTL1–WDR4 p.391

doi: 10.1038/s41586-022-05566-4

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